夜間の急場をしのぎ、医療機関が開くまでの数日間をコントロールするためにドラッグストアで市販薬を調達する場合、パッケージの「咳によく効く」という派手なキャッチコピーだけで選んではいけません。咳のタイプ(乾性か湿性か)によって適した有効成分は完全に二分されます。咳が止まらない時の市販薬おすすめと成分選択の指針を整理しました。
まず、喉がムズムズして痰がほとんど出ない「コンコン」「カサカサ」という乾いた咳(乾性咳嗽)の場合、脳の延髄にある咳中枢を直接鎮静させる成分が適しています。代表的な成分は以下の通りです。
- デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物:中枢性非麻薬性鎮咳成分。依存性が極めて低く、過敏になった咳反射をシャープに抑制します(製品例:メジコン咳止め錠Proなど)。
- チペピジンヒビズ酸塩・ノスカピン:気管支の緊張を和らげつつ、穏やかに咳中枢に作用する成分。アレルギー素因が疑われる咳にも多用されます。
- 麦門冬湯(ばくもんどうとう):気道がカサカサに乾燥し、顔が赤くなるほど激しく咳き込むタイプに著効を示す漢方薬。粘膜を潤す作用(滋潤作用)があり、夜間の乾性咳に極めて高いエビデンスを持ちます。
これに対し、喉の奥に分泌物が張り付いて「ゴホゴホ」「ゼロゼロ」と音が鳴る湿った咳(湿性咳嗽)の場合、咳を無理に止める薬ではなく「痰をサラサラにして排出しやすくする去痰成分」が主役となります。
- L-カルボシステイン・アンブロキソール塩酸塩:気道粘液の構成を正常化し、粘り気のある痰を薄めて繊毛運動による体外排出を促進します(製品例:ストナ去痰カプセル、クールワン去痰カプセルなど)。
ドラッグストアの総合感冒薬には、解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン剤、複数の咳止め成分が混ざっていますが、「咳だけが辛い」という段階であれば、余分な成分を含まない単剤の鎮咳薬または去痰薬を選択する方が、眠気や口の渇きといった副作用を抑えつつ高い効果を得られます。なお、市販薬を3〜5日間服用しても症状が好転しない、あるいは悪化傾向にある場合は即座に使用を中断してください。