皮膚の表面に現れる赤みや腫れだけを見て、一般の人が粉瘤とニキビを識別するのは容易ではありません。しかし、皮膚科および形成外科の臨床現場において、専門医はいくつかの明確な物理的特徴に着目して即座に鑑別を行っています。その最たる指標が、中心部に存在する微細な黒い点(開口部)と、指先で触れた際の感触・可動性の違いです。
粉瘤は、何らかの理由で皮膚の表皮構造が皮下組織に入り込み、本来は垢(角質)として剥がれ落ちるべき代謝物が皮膚の内側に溜まっていく袋状の良性腫瘍です。多くの場合、皮膚の表面を注意深く観察すると、袋の出口にあたる毛穴が黒い点のように見えます。これに対して一般的なニキビ(尋常性痤瘡)は毛穴の出口が角化異常で塞がり、皮脂が詰まってアクネ菌が増殖したものであり、独立した腫瘍の袋が存在するわけではありません。
触診における感触の違いも極めて明瞭です。ニキビは炎症を起こすと皮膚表面が硬く突っ張り、中心部に触れると芯のあるチクッとした鋭い痛みを感じます。一方、非炎症期の粉瘤は「皮下にゴムボールや消しゴムのような弾力のあるしこり」が明確に触知でき、指で軽く押すと皮膚の下でわずかに動くような感覚(可動性)を覚えるのが特徴です。以下の比較データは、臨床で用いられる典型的な判別基準をまとめたものです。