草刈雄士さんは、単に「名俳優の息子」という肩書きにとどまる人物ではありませんでした。彼を語る上で欠かせないのが、10代の音楽シーンを震撼させた伝説のファンク&ヒップホップバンド「ズットズレテルズ」での活動です。
ズットズレテルズは、ダウンタウン・浜田雅功氏の長男であるハマ・オカモト氏(現OKAMOTO'S)や、オカモトレイジ氏らとともに、高校の同級生を中心に2008年に結成されたバンドです。雄士さんはバンド内で「ドカットカット」あるいは「ドカット」というMCネームを名乗り、圧倒的なリズム感と唯一無二のリリック(歌詞)でフロントマンとして異彩を放っていました。
2009年、10代限定のロックフェス「閃光ライオット」で決勝へ進出し、その圧倒的なグルーヴと演奏力で全国の音楽ファンを熱狂させました。彼らは惜しまれつつも同年に解散しましたが、残されたアルバム『第一集』は現在も日本のインディーズロック・ファンク史における金字塔として語り継がれています。
バンド活動休止後、雄士さんは音楽のみならず絵画やグラフィックアートの世界に情熱を傾け、ストリートカルチャーと純粋芸術の境界を揺さぶる作品群を精力的に生み出していました。繊細かつ過剰なまでの感性を持っていたからこそ、作品作りに対しては睡眠時間を削り、妥協を一切許さないストイックな姿勢を貫いていたと仲間たちは述懐しています。