がんと診断されたり疑われたりする場面で用いられるのが「腫瘍マーカー」です。がん細胞そのもの、あるいはがん細胞に反応した周囲の組織が作り出す特殊な物質であり、血液検査を通じてその濃度を測定します。
代表的な腫瘍マーカーと対象疾患は以下の通りです。
- PSA:前立腺がんに極めて高い特異性を持つマーカー。50歳以上の男性において早期発見の決め手となる。
- CEA:大腸がん、胃がん、肺がんなど幅広い腺がんで上昇。進行度や術後の再発モニタリングに多用される。
- CA19-9:すい臓がん、胆管がんなどで陽性率が高いマーカー。
- AFP / PIVKA-II:肝細胞がんに特化して上昇する指標。
- CA125:卵巣がんや子宮内膜症などの婦人科系疾患に反応するマーカー。
ただし、腫瘍マーカーは早期がんでは必ずしも陽性にならず、良性の炎症でも偽陽性を示すケースがあります。そのため、単独でがんを確定するものではなく、画像診断(CT、MRI、内視鏡)と組み合わせて総合判定を下すのが標準的な医療プロセスです。
なお、採血だけで超早期がんの兆候を捉える技術として、血液中のがん由来マイクロRNAを網羅的に解析する検査や、血中アミノ酸濃度バランスからリスクを評価する「アミノインデックス(AICS)」なども実用化が進んでおり、スクリーニングの選択肢は大きく広がっています。