人々が覚える恐怖感の根底にある心理現象、それが「巨像恐怖症(メガロフォビア)」だ。人間は日常的に、自分の身長や一般的な建築物の基準に合わせたスケール感の中で暮らしている。しかし、仙台白衣大観音のような規格外の巨大物体が、整然とした閑静な住宅街のすぐ背後にそびえ立つとき、脳の遠近感と現実認識が激しく撹乱される。
高さ100メートルという数字は、アメリカの「自由の女神像」(像本体の高さ約46メートル)の倍以上、奈良の大仏(高さ約15メートル)の約6.6倍に相当する。仙台市が市制施行100周年を迎えた記念すべき年(1989年)に起工され、政令指定都市化への飛躍を象徴する意味も込められた。しかし、どこまでも真っ白な表面処理、感情を読み取りにくい無表情な表情、そして青空や夕闇を背景にした際のシルエットの対比が、見る者に「今にも動き出すのではないか」「押し潰されるのではないか」という本能的な畏怖を抱かせるのだ。