2000年代の住宅番組黄金期において、あの「土の家」の放送回ほど視聴者の感情を大きく揺さぶった例は少ない。型枠に土を詰め込んで力強く突き固める「版築(はんちく)」工法や、裸のまま仕上げられた土壁の外観は、大手ハウスメーカーが提供する均一なサイディング住宅に慣れ親しんだ日本人に強烈なカルチャーショックを与えた。
「大雨が降ったら流れてしまうのではないか」「カビや害虫の温床になるのでは」――放送終了直後から、当時の掲示板や初期のSNSには心配と困惑、そして一部の建築ファンによる熱狂的な賛辞が入り乱れた。住宅とは頑丈な工業製品であり、完璧に雨風を遮断する箱であるべきだという当時の都市生活者の常識に対し、あの建築は裸足で挑戦状をたたきつけたのだった。