高校数学IIで虚数単位 $i$ を学んだ直後、誰もが一度は解くことになるのが「次の式を複素数の範囲で因数分解せよ」という典型問題です。たとえば、$2x^2 - 4x + 6$ という2次式を前にしたとき、多くの生徒は迷わず2次方程式 $2x^2 - 4x + 6 = 0$ を設定し、解の公式を用いて解 $x = 1 \pm \sqrt{2}i$ を導き出します。
ところが、大手予備校の記述模試における採点現場を取材すると、背筋の凍るような現実が浮き彫りになります。都内大手予備校で長年数学科を指導する主任講師は、次のように現場のリアルを証言します。
「途中式で $x = 1 \pm \sqrt{2}i$ と正しく書けている答案の約4割が、最終行で $(x - (1 + \sqrt{2}i))(x - (1 - \sqrt{2}i))$ とだけ記して答案を提出しています。本来先頭に必要な係数『$2$』が完全に抜け落ちており、部分点すら与えられずゼロ点になるケースが極めて目立ちます。生徒本人は『計算は完璧に合っていたのになぜ引かれたのか』と激しく混乱するのです」
SNSや大手知恵袋などの学習コミュニティでも、「因数分解の答え合わせをしたら先頭の数字が抜けていて丸ごと失点した」「解の公式で満足して係数を忘れる癖が治らない」といった苦悶の声が毎年のように投稿されています。なぜ、これほどまでに多くの受験生が同じ罠にはまり続けてしまうのでしょうか。