本作における最大の謎であり、物語を駆動する最大のドラマが「アーロンによるルカリオの封印」です。数百年前、オルドラン城一帯は「赤の軍勢」と「緑の軍勢」という二大勢力の全面戦争に巻き込まれ、壊滅の危機に瀕していました。波導の力をもって城に仕えていたアーロンは、愛弟子であるルカリオに対し「私は城を捨てて逃げる。お前にはもう仕えぬ」と言い放ち、持っていた杖の中にルカリオを封じ込めます。
現代に目覚めたルカリオが「人間は決して信じない」「アーロン様に裏切られた」と強い不信感を抱いていたのは、この封印の瞬間の記憶が強烈なトラウマとなっていたためです。しかし、物語終盤に「タイムフラワー(過去の情景と音声を記録して再生する結晶植物)」によって明かされた真実は、ルカリオの認識とは正反対のものでした。
アーロンは城から逃げたのではなく、自らの全波導(生命エネルギー)を「はじまりの樹」に注ぎ込み、大戦争を止めるために命を捧げる決意を固めていたのです。波導を使い果たせば、人間であろうとポケモンであろうと命を落とします。もしルカリオを連れて行けば、忠誠心の強いルカリオは間違いなく身代わりとなって命を散らすか、戦乱の渦に巻き込まれて命を落としてしまう。アーロンは、自分が死んだ後もルカリオに生き永らえてほしいという切実な願いから、あえて裏切り者を演じ、安全な杖の中へルカリオを匿ったのです。