会社を退職した際、多くの人が「翌月からどの保険に入るべきか」という選択を迫られます。選択肢は主に以下の3つです。
- 前職の健康保険をそのまま継続する「任意継続」(最長2年間)
- 住んでいる市区町村の「国民健康保険」に切り替える
- 家族(配偶者や親など)が加入している社保の「被扶養者」に入る
配偶者や親の扶養に入れる条件を満たしている場合は、保険料負担がゼロになるため扶養に入るのが最も経済的です。問題となるのは、「任意継続」と「国保」で迷うケースです。
任意継続と国保どっちが得かを判断する決定的な基準は、「前年の年収」と「任意継続の保険料上限」にあります。任意継続を選ぶと、これまで会社が払ってくれていた折半分の負担がなくなるため、毎月の保険料は在職中の自己負担額の2倍になります。ただし、任意継続には「各健康保険組合や協会けんぽが定める標準報酬月額の上限(協会けんぽの場合は30万円前後)」が設定されているため、在職中に高年収だった人は保険料が一定額で頭打ちになります。
一方、国保の保険料は前年の全所得をベースに計算されるため、前年に高収入を得ていた場合、退職1年目の国保保険料は上限枠(年間100万円超)付近まで跳ね上がるリスクがあります。したがって、「前年の年収が高かった人や扶養家族がいる人は任意継続」「前年の年収が低かった人や単身者は国保」が有利になりやすいのが通例です。市区町村の窓口で国保保険料の試算を出してもらい、任意継続の金額と直接比較することが失敗を防ぐ唯一の確実な手順です。
注意すべきは退職後の健康保険切り替え手続きの期限です。任意継続は「退職日の翌日から20日以内」、国保への加入手続きは「退職日の翌日から14日以内」と非常にタイトに設定されています。1日でも過ぎると任意継続の申請は原則却下されるため、退職直後の迅速な行動が欠かせません。
なお、倒産・解雇・雇い止めなどの非自発的理由で退職した場合、国民健康保険料の減免制度と理由に該当し、前年の給与所得を30/100とみなして国保料を大幅に軽減する公的特例が利用できます。この軽減が適用される場合は、任意継続よりも国保の方が圧倒的に安くなるケースが多いため、ハローワークで交付される離職票の理由コードを確認の上、自治体窓口で申請を行う必要があります。