夕暮れとともにビーチの表情は一変します。砂浜が淡いエメラルドグリーンと青の光に包まれる光景は、現在「熱海ムーンライトビーチ」として全国的に知られています。この演出を手がけたのは、東京タワーやレインボーブリッジの照明デザインで世界的に名高い石井幹子(いしい・もとこ)氏です。
なぜ熱海市はこのプロジェクトに踏み切ったのか。熱海ムーンライトビーチの点灯理由は、かつて「夜になると人通りが途絶え、温泉街がゴーストタウン化する」と指摘された熱海の夜間経済(ナイトタイムエコノミー)を活性化させることにありました。2004年に日本で初めて導入された砂浜のライトアップは、単なるイルミネーションではなく、「月の光(ムーンライト)」をイメージした波の陰影を美しく浮かび上がらせる光学設計が施されています。砂浜を照らす照明は、観光客に治安上の安心感を与えると同時に、夕食後の散策需要を劇的に掘り起こしました。
気になる熱海サンビーチのライトアップ時間は、年間を通じて日没から毎晩22:00までです。ただし、熱海海上花火大会が開催される夜は、花火の視認性と安全確保のため、打ち上げ直前から終了時まで一時的に消灯されます。日没直後のトワイライトタイムから完全な夜空へと移り変わるグラデーションの時間帯は、写真撮影に最も適したゴールデンタイムとして多くの来訪者を魅了しています。