放送から20年の節目を迎えようとする現在もなお、『仮面ライダーカブト』および水嶋ヒロの演じた天道総司が特撮史の金字塔として称賛され続ける理由は何でしょうか。SNS、特撮コミュニティ、過去のファンミーティング等における視聴者の声を検証すると、以下の3つの特異な要素が浮き彫りになります。
第一に、「完全無欠の主人公像を成立させた圧倒的説得力」です。天道総司は、料理、スポーツ、語学、戦闘のすべてにおいて完璧であり、劇中で一度たりとも格好悪さを見せない徹底したキャラクターでした。この非現実的な設定を、水嶋ヒロ自身の持つ端正な容姿、スイス育ちの帰国子女というバックボーン、慶應義塾大学卒の知性、そしてサッカー全国大会出場の身体能力が見事に裏打ちし、視聴者に「この人なら本当に世界を統べることができる」と信じ込ませました。
第二に、「加賀美新(佐藤祐基)との究極の対比構造」です。愚直で泥臭く、失敗を重ねながら成長する加賀美新という等身大のヒーローが存在したからこそ、孤高の天才である天道総司の存在感が際立ちました。二人の絶妙な掛け合いと魂の共鳴は、バディもの特撮の最高峰として現在も語り草となっています。
第三に、「日常と非日常の融合(料理描写の革新性)」です。「おばあちゃんが言っていた、美味しいものを食べるのは楽しいが、一番楽しいのはそれを誰かと一緒に食べることだ」といった人生訓とともに、美しく包丁を振るう姿は、特撮番組の枠を超えて幅広い層の心を掴みました。