松下美術館の敷地内には、豊かな自然環境と調和するように1号館から6号館(特別展示館含む)までの独立した展示棟が配されています。それぞれの館が異なるテーマを持っており、所蔵作品総数は約3,000点以上におよびます。一般的な地方美術館のスケールを遥かに凌駕するその壮大なコレクションから、絶対に外せない見どころを整理します。
1. 西洋絵画の巨匠たち(モネ、ルノワール、ピカソ、シャガール)
本館の白眉となるのが、19世紀から20世紀にかけての西洋近代名画です。印象派の創始者であるクロード・モネの繊細な光の表現、豊かな色彩と温かな生命感があふれるピエール=オーギュスト・ルノワールの油彩画をはじめ、エドガー・ドガ、カミーユ・コロー、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、マルク・シャガール、フィンセント・ファン・ゴッホのデッサンなど、美術史の潮流を一望できるラインナップが揃っています。何より驚かされるのは、東京の企画展なら数メートルの距離から警備員越しに見上げるような名画が、手の届くような近さで飾られている鑑賞環境です。
2. 日本近代洋画の礎(黒田清輝、和田英作、藤島武二)
鹿児島は近代日本洋画界において、極めて重要な巨匠を輩出した土地として知られています。日本洋画の父と称される黒田清輝をはじめ、和田英作、藤島武二、さらには梅原龍三郎、安井曾太郎など、日本の美意識と西洋絵画技法を融合させた先駆者たちの重厚な作品が充実しています。郷土の先人たちが切り拓いた芸術の軌跡を、同じ鹿児島の空気の中で鑑賞することには深い精神的価値があります。
3. 古代オリエント・エジプト発掘品と東洋古美術
松下コレクションの特異性は絵画にとどまりません。古代エジプトの副葬品やスカラベ、古代オリエントの土器、古代ギリシャ・ローマ時代の彫刻断片、さらには中国古代の青銅器や漢代・唐代の陶磁器に至るまで、紀元前数千年の時空を超えた文明遺産が並びます。さらに地元特有の精緻な薩摩焼や現代ガラス工芸も網羅されており、単なる絵画ギャラリーを超えた「人類の美の歴史博物館」としての威容を誇っています。