ネット上の感想や考察では、時に的場静司を「冷酷非道な悪役」「夏目と敵対するボスキャラクター」と単純化する声が見受けられます。しかし、これは作品の構造を読み解く上での大きな誤解です。
的場静司は私利私欲のために動いているわけではありません。彼が背負っているのは、「見えない一般人を怪異の脅威から守り、衰退しつつある祓い屋一門を存続させる」という過酷な責務です。
妖は時に理不尽に人を食らい、生活を破壊します。夏目のように「心を通わせられる妖」ばかりではない過酷な現実において、的場のような冷徹な実力者がいなければ、人間社会は怪異に蹂躙されてしまいます。汚れ役をすべて引き受け、先祖の呪縛に晒されながらも毅然と立つその姿勢は、紛れもないダークヒーローのそれです。