アニメ画面の片隅から突如現れては冷笑を浮かべる彼女ですが、野口さんの本名は「野口笑子(のぐち えみこ)」です。学校ではクラスメイトからも教師からも一貫して名字で呼ばれているため、野口さんの下の名前が「笑子」であることを初めて知った視聴者の多くは、その明るすぎる響きに二度見することになります。
この野口笑子という名前に込められた野口さん 名前の由来について、さくらももこ原作の制作秘話や当時のインタビュー証言を紐解くと、極めて明快な制作意図が浮かび上がります。それは「もっとも笑顔から遠そうな陰鬱な少女に、あえて『笑う子』と名付ける」という徹底的なギャップとアイロニーです。
普段は無口で暗く、同世代の女子が好むお人形遊びや少女漫画には目もくれない少女が、実は誰よりも貪欲にお笑いを愛し、物事のおかしみを誰よりも鋭く見抜いている――。さくらももこ先生は、このキャラクターの本質を見事に表現するために「笑子」という漢字を当てました。ただ明るく無邪気な子供ではなく、人間の滑稽さを静かに観察して腹の中で愉しむという、ブラックサタイア(風刺)の効いた名付けの妙がここにあります。