2020年代半ばを迎えた日本のアイドル産業は、歴史的な再編期を迎えている。長年市場を牽引してきたSTARTO ENTERTAINMENTの体制刷新、滝沢秀明氏率いるTOBEの台頭、そして圧倒的な資本力とグローバル戦略で席巻する韓国発のHYBEなど、選択肢の多様化がファンの流動性をかつてない規模で加速させている。
特に平野紫耀をはじめとするトップアーティストの移籍や独立は、ファンコミュニティに決定的な地殻変動をもたらした。既存のグループをそのまま応援し続けるのか、新天地へと旅立ったタレントを追うのか。あるいは、業界の政治的駆け引きそのものに辟易して現場から立ち去るのか。
「かつては一つの事務所のタレントを生涯応援し続ける『事務所担』のような忠誠心が存在したが、勢力図の激変によってファンの帰属意識は完全に分散した」とカルチャー評論家は指摘する。産業構造の激動は、ファンに対して自らのスタンスを常に問い直すことを迫り、結果として担降りの決断を後押しするトリガーとして機能している。