女子シングルにおいて4回転ジャンプやトリプルアクセル(3回転半)といった超高難度ジャンプが脚光を浴びる中、坂本花織選手はそれらの大技を組み込まずに世界の頂点に立ち続けています。その背景には、現行の採点システム(ISUジャッジングシステム)における「質の極限追求」という明確な勝因が存在します。
坂本選手のフリースケーティングにおける構成難易度と得点力の源泉は、主に以下の3点に集約されます。
第一に、GOE(出来栄え点)で満点に近い評価を引き出すジャンプのクオリティです。坂本選手のジャンプは、助走スピードを全く落とさずに踏み切り、雄大な幅と高さを持ち、流れるような美しい着氷へと繋がります。着氷後のスピードが落ちないため、審判員はGOEで「+4」や「+5」の最高評価を惜しみなく与えます。
第二に、基礎点が1.1倍になる演技後半へのコンビネーション配置です。後半に「フリップ-トウループ」や「ダブルアクセル-トリプルトウループ-ダブルトウループ」などの難度の高い連続ジャンプを正確に組み込むことで、基礎点を大幅に底上げしています。
第三に、世界最高峰のPCS(演技構成点)です。スケーティングスキル(SS)、プレゼンテーション(PR)、コンポジション(CO)の全項目において9点台後半を揃えられる選手は、世界広しといえども極めて稀です。エッジの深さ、一蹴りで伸びる滑走距離、音楽との完璧なシンクロ率が、技術点(TES)と演技構成点の双方を極限まで押し上げています。