知床の自然散策や登山(羅臼岳・硫黄山など)へ足を踏み入れる際は、万全の知床ヒグマ遭遇対策を講じることが義務に近いマナーです。ヒグマとの無用なトラブルを防ぐ基本原則は「こちらの存在を事前に知らせて出会わないこと」と「万が一遭遇した際の心理的距離を保つこと」の2点に尽きます。
トレッキング時はクマ鈴や手拍子、同行者との会話で音を出し、見通しの悪いカーブや風下では声を出しながら進むのが鉄則です。そして、最終防衛ラインとして必須となるのがクマ撃退スプレー(高濃度カプサイシン成分)の所持です。
スプレーを携行する際の重要ポイントは以下の通りです。
- バックパックの中には絶対に入れない:突発遭遇時にザックを開けて取り出す時間はありません。必ず腰の専用ホルスターに装着し、即座に安全ピンを抜ける状態にしておきます。
- 有効射程と噴射時間を把握する:市販の撃退スプレーの有効射程は約5m〜8m、全量噴射時間はわずか4秒〜7秒程度です。遠くで噴射しても効果はなく、風向き(向かい風でないか)を瞬時に判断し、ヒグマの顔面めがけて一気に噴射する必要があります。
- 飛行機への持ち込み制限:クマ撃退スプレーは高圧ガス・危険物扱いとなるため、航空機の手荷物・預け入れ荷物ともに一切持ち込めません。ウトロや羅臼の現地アウトドアショップ、ビジターセンターでのレンタル(1日1,000円〜1,500円前後)を活用してください。