観光客が最も混乱するのが、「元祖長浜屋(ガンソ)」のすぐ近くに「元祖ラーメン長浜家(通称:家1=けいいち)」と「元祖ラーメン長浜家(通称:家2=けいに)」が存在する問題です。看板のフォントやメニュー構成、さらには提供スタイルまで酷似しているため、同一チェーンの支店と誤解されるケースが後を絶ちません。
しかし取材データや関係者の証言によると、両者の間には明確な分裂劇が存在します。2008年から2010年にかけての元祖長浜屋の店舗移転および長期休業期間中、長年現場を支えていたベテラン従業員たちが独立し、旧店舗の至近に立ち上げたのが「元祖ラーメン長浜家」でした。その後、元祖長浜屋が再開したことで同一エリアに元祖と長浜家が併存することとなり、店名や意匠をめぐる商標トラブルや法的な駆け引きが繰り広げられた経緯があります。
現在ではそれぞれ独自のファン層を確立していますが、スープの質感や味付けには以下のような明確な個性の違いが存在します。
- 元祖長浜屋(ガンソ): スープは豚骨の骨粉感とあっさりした出汁感が特徴の「元祖シャバ系」。脂の甘みとタレのキレで食わせるタイプで、日による味のブレも含めて愛されている。肉は細かく刻まれた強い塩気のあるチャーシュー。
- 元祖ラーメン長浜家(家1・大手門): ガンソの初期の味を忠実に再現していると評される。ガンソよりもスープに豚骨のコクとまろやかさがあり、タレが最初からしっかり効いている傾向がある。ネギの盛りがやや多め。
- 元祖ラーメン長浜家(家2・上川端): 中洲・川端通商店街の中に位置し、24時間営業に近い体制をとる。観光客や飲屋街の客層が多く、塩味と旨味調味料のパンチが前面に出た仕立て。
「どちらが本物か」という議論は博多っ子の間でも百家争鳴ですが、歴史的ルーツとしての正統後継は「元祖長浜屋」、旧店舗時代の職人の味や安定感を支持する層は「長浜家」を選ぶという棲み分けがなされています。