ばね指を「命に関わる病気ではないから」と軽視して放置すると、日常生活に甚大な支障をきたす機能障害へと発展します。ばね指放置のリスクの中で最も警戒すべきは、関節と腱の「線維化」および「関節拘縮」です。
炎症が慢性化すると、腫れ上がった屈筋腱と腱鞘の間で癒着が進行します。すると、強い痛みを避けるために無意識に指を使わなくなり、指のPIP関節(第2関節)を取り巻く靭帯や関節包が縮んで固まってしまいます。この状態が数カ月続くと、仮に後から炎症が治まったり手術でトンネルを切り広げたりしても、自力で指が真っ直ぐに伸びなくなる不可逆的な後遺症が残る危険性があります。
さらに見逃せないのが、更年期産後女性ホルモンの影響です。40代〜60代の閉経前後の女性や産後・授乳期の女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に低下します。エストロゲンには腱や腱鞘の柔軟性を保ち、関節内の滑液を円滑にする保護作用があるため、ホルモンバランスが崩れると腱鞘が肥厚しやすくなります。このホルモン性の要因に家事や育児、デスクワークでの手の酷使が重なることで、急速に重症化へと進むパターンが臨床現場でも目立ちます。