「原本さえ持っていれば、わざわざ紙に印刷して持参する必要はない」と考えるのは非常に危険です。海外旅行中にパスポートの盗難や紛失に遭った際、手元にコピーが一枚もないと、現地での生活や帰国手続きが完全にストップするリスクがあります。
異国の地で旅券を失った場合、まず現地の警察署へ赴いて盗難・紛失届を提出し、「ポリスレポート(事故証明書)」を発行してもらう必要があります。この際、警察官から旅券番号や発行年月日、有効期限の正確な提示を求められますが、記憶だけに頼って正確な英数字を申告するのは困難を極めます。コピーがあれば、窓口で見せるだけで即座に手続きが進みます。
さらに深刻なのが、在外公館(日本大使館・総領事館)での手続きです。旅券を紛失した旅行者は、再発行または緊急帰国用の「帰国のための渡航書」を申請しなければなりません。この申請過程において、本人確認および元の旅券情報を照合する資料として、コピーの存在が絶大な威力を発揮します。手元に控えがあるかないかで、帰国便の手配や滞在スケジュールの復旧スピードに数日単位の差が生じることも珍しくありません。