「両側ではなく、右側だけ(あるいは左側だけ)を押すと明らかに痛む」という片側性の症状に不安を抱くケースは非常に多いです。左右どちらか一方のみに痛みが集中する場合、姿勢の非対称性や生活習慣の歪み、あるいは解剖学的な病変が関与しています。
右側・左側に偏る生活習慣上のトリガー
身体の片側だけに圧痛が生じる原因として最も頻度が高いのは、「咀嚼の偏り(片噛み)」と「姿勢の非対称性」です。
無意識のうちに右側の奥歯ばかりで食事を噛む癖があると、右の側頭筋ばかりが酷使されて肥厚し、強い筋緊張とトリガーポイントが右側頭部に形成されます。また、オフィスワークでのマルチディスプレイ環境において、常に右(または左)側のモニターを見上げる姿勢を続けていると、特定の頸板状筋や頭半棘筋が収縮し、同側の小後頭神経や耳介側頭神経を圧迫します。就寝時の横向き寝でいつも同じ側を下にして寝具に頭部を押し付けている場合も、局所の血行不良から片側性の圧痛を招きます。
「押すと痛いしこり」がある場合に考えられる皮膚・リンパの病変
側頭部を指先で探った際、骨の上に小豆大から大豆大の「コリコリとしたしこり」があり、それを押すと痛む場合は筋肉痛以外の病理を疑う必要があります。
- 粉瘤(アテローム)の炎症:頭皮の毛穴の奥に角質や皮脂が袋状に溜まり、そこに細菌感染が起きて急激に赤く腫れて強い痛みを伴うケースです。破裂すると特有の異臭を放つ膿が出ます。
- 耳介後部・後頭部リンパ節炎:頭皮の引っかき傷やニキビ、あるいは外耳炎や虫歯などの感染巣から菌が入り、耳の後ろから側頭部にかけてのリンパ節が腫れて圧痛を生じます。通常は弾力性があり、可動性(指で押すと少し動く)が認められます。
- 皮下脂肪腫・骨腫:脂肪細胞の良性腫瘍(脂肪腫)や頭蓋骨表面の良性骨形成(外骨腫)は通常無痛ですが、周囲の知覚神経に触れる位置にできた場合、外からの圧迫によって神経が刺激され痛みを引き起こすことがあります。
数日から1週間で急激に大きくなるしこりや、表面が硬く周囲組織に癒着して動かない腫瘤、皮膚の色が暗紫色に変色しているような場合は、速やかに皮膚科や形成外科でのエコー検査や生検を検討してください。