作中で読者に強い視覚的衝撃を与えたのが、お館様の顔面上部を覆う紫色のただれです。物語の進行とともにその病変は顔全体、さらには全身へと広がり、やがて視力を完全に奪い、呼吸器を侵して床から起き上がることすら叶わなくなっていきました。
この重篤な病態の正体は、医学的な皮膚疾患や感染症ではありません。原因は、千年前に同じ一族の血筋から鬼の始祖である鬼舞辻無惨を生み出してしまったことによる「神仏の天罰(呪い)」です。無惨という巨悪を世に解き放った代償として、産屋敷の血を引く子どもはことごとく病弱に生まれ、成人を迎えることなく命を落とす家系となってしまいました。
一族が途絶えかけた際、神職から「同じ血族から鬼が出たため、一族が呪われている」「鬼を討伐することに心血を注ぎ、代々神職の家系から妻を迎えよ」という神託を受けました。それ以来、産屋敷家は神職の一族から嫁を娶ることで辛うじて男子の血筋を繋いできましたが、それでも歴代当主の誰もが30歳を超えることなく命を落とすという過酷な宿命を背負い続けています。