決算発表で税引前当期純利益がマイナス(赤字)となった企業を見かけた際、短絡的に「経営危機だ」と判断するのは早計です。赤字の中身を徹底的に精査する必要があります。
営業利益や経常利益がしっかり黒字を確保しているにもかかわらず、税引前当期純利益が大幅なマイナスに沈んでいる場合、その主因は巨額の特別損失にあります。過去の負の遺産を一括で処理する減損損失や、将来の収益改善を見据えた事業撤退費用、早期退職費用の計上などは、いわゆる「膿(うみ)を出し切る」ための前向きな損失処理(ビッグバス)であるケースも少なくありません。
反対に、営業利益が赤字であるにもかかわらず、不動産や有価証券を売却した特別利益によって税引前当期純利益を無理やり黒字に見せかけている企業には警戒が必要です。本業の稼ぐ力が衰退している事実を資産の切り売りで覆い隠しているに過ぎないため、翌期以降に深刻な資金難に陥るリスクを孕んでいます。