「ビタミンCは熱に弱いため、生野菜サラダで摂らなければ意味がない」という言説は、栄養学の基礎として広く知られています。水溶性ビタミンであるビタミンC(アスコルビン酸)は、熱や酸化によって容易に分解される性質があるためです。しかし、この原則がピーマンにはそのまま当てはまりません。
ピーマンに含まれるビタミンCが加熱調理に耐えうる最大の理由は、ビタミンPと呼ばれるフラボノイド系色素成分(ルチンやヘスペリジンなど)が共存しているためです。ビタミンPには強力な抗酸化作用があり、ビタミンCを酸化や熱から保護して安定化させる働きを持っています。
さらに、ピーマンは果肉の細胞壁が非常に強固で緻密な構造をしています。強火で短時間炒める中華料理のような加熱を行っても、水分とビタミンCが組織外へ流出するのを物理的に防ぐ設計になっています。実際に電子レンジ加熱や油炒め後の残存率を測定した実験データでも、加熱後も約80〜90%以上のビタミンCがそのまま保持されることが確認されています。生食にこだわらず、加熱調理でカサを減らしてたっぷり食べるアプローチこそが、結果として多くの栄養を体内に取り込む賢い選択肢です。