外部から見れば難攻不落に思える暗号化通信だが、情報が漏洩するルートの多くは、アプリ本体の暗号化を破るような高度なサイバー攻撃によるものではない。あるベテランの芸能ジャーナリストは、当時の状況を次のように振り返る。「流出の多くは、端末の物理的な占有や、アカウント連携の仕組みを突いた『泥臭い手法』によって引き起こされていた。クローンiPhoneの作成や、PC版アプリへの無断ログイン、あるいは使用しなくなった古い端末の引き出しからの持ち出しなど、身近な人間の手によるものの大半を占めていた」
スマートフォンを置いたまま席を外したわずかな時間、クラウドバックアップのパスワード使い回し、あるいは関係者の離反。どんなに堅牢なシステムを構築しても、エンドユーザーである人間側の情報セキュリティ意識が追いつかなければ、水漏れのように情報は外へと滲み出る。デジタルデータは一度コピーされれば劣化することなく無限に拡散する性質を持つため、ひとたび流出ルートが形成されれば、それを止める術はほぼ存在しない。