なぜ日本の祭りは、これほどまでに人々を惹きつけてやまないのか。その歴史的背景を紐解くと、近世初頭の劇的な社会変動へと行き着く。戦国乱世に終止符を打ち、泰平の世を築いた徳川家康。その統治下で急速に発達した都市空間において、祭礼は疫病退散の祈祷であると同時に、町衆が己の経済力と意気を誇示する一大スペクタクルへと変貌を遂げた。
武家政権の枠組みの中で、町民たちは日常の制約を祭りの熱狂のなかで軽やかに昇華させた。天下泰平が生んだ活気の中で磨かれた芸能や工芸の粋は、やがて町ごとの強烈な連帯感となり、現在まで途切れることなく受け継がれる都市祝祭のDNAとなったのだ。