「ヤギが怖い」という感情は、単なる心理的偏見だけではありません。実際のふれあい動物園や観光牧場では、ヤギによる頭突きや噛みつき事故が日常的に発生しており、物理的な危険性を孕んでいます。
成体ヤギの体重は品種によって30kg〜80kg、大型種では100kg近くに達します。この巨体から繰り出される頭突きは、人間の頸椎捻挫や肋骨のひび、打撲を引き起こすのに十分な破壊力を誇ります。特に子どもが背後から無防備に突撃され、転倒して重傷を負うケースは後を絶ちません。
ヤギが凶暴化・攻撃的になる主な原因には、「発情期のホルモンバランス(特に秋季のオス)」「エサを巡る順位争い」「縄張りへの侵入に対する防衛」「角を触られたことへの不快感」が挙げられます。突発的に攻撃してくるように見えても、実際には直前に必ず明確な威嚇サインを出しています。
特に注意が必要なのが「噛まれる事故」です。ヤギの上顎には前歯(切歯)がなく、硬い歯茎(歯とこ)がある構造ですが、奥歯(臼歯)は非常に鋭利で強力です。エサを手渡しする際に指を巻き込まれると、皮膚が裂ける深い裂傷を負う危険があるため、エサやりは手のひらを完全に広げて平らに乗せるのが鉄則です。