SNSや外食シーンでは「激辛フェス」や限界突破系ラーメンが定番ジャンルとして定着しています。コミュニティを観察すると、「最初は中辛で十分だったのに、今ではハバネロやキャロライナ・リーパーでないと物足りない」という声が頻出します。
辛味刺激に対する耐性は、舌の痛覚受容体が強い刺激に順応(脱感作)することで上昇します。しかし、舌が慣れても内臓粘膜の耐性は強化されません。脳がより強い快感(エンドルフィン)を求めて刺激をエスカレートさせる「辛味依存」に陥ると、知らぬ間に消化管全体が深刻なダメージを負うケースが後を絶ちません。
いわゆる「辛いものに強い人」の特徴としては、痛覚受容体の密度が遺伝的に低いタイプに加え、幼少期からの食習慣や、ドーパミン受容体の感受性特性が挙げられます。しかし、強靭に見える激辛マニアであっても、翌日の腸内環境の荒れや急激な腹痛といった生理的代償は等しく支払っているのが現実です。