世間一般では「ずっと眠っているだけ」と軽視されがちですが、クライン・レビン症候群の真の過酷さは、覚醒時に現れる特異な精神・行動異常にあります。傾眠期の患者には、主に以下のような症状が重複して現れます。
第一に挙げられるのが異常な過食(メガファジア)です。視床下部にある摂食中枢の機能不全により、満腹感を感じられなくなり、目の前にある食べ物を手当たり次第に貪り食います。普段は好まないジャンクフードや生ものを異常なペースで口に運ぶ姿は、家族に大きな精神的ショックを与えます。
第二に、重度の認知障害と離人感が患者を襲います。「自分が自分ではないような感覚」「世界に膜がかかり夢の中にいるような感覚」に囚われ、時間の感覚や場所の認識が著しく低下します。知能検査のスコアも一時的に激減し、会話のつじつまが合わなくなるケースも珍しくありません。
第三に、急激な感情・性格の変化です。普段は温厚な性格であっても、起こされそうになると激しい怒りを露わにしたり、逆に幼児のように甘えたり無気力になったりします。また、思春期の男性患者を中心に、羞恥心を失った過度の性欲亢進(不適切な発言や行動)がみられることも特徴の一つです。