千代の富士「体力の限界」電撃引退の裏側と貴花田戦に迫る真相

千代の富士「体力の限界」電撃引退の裏側と貴花田戦に迫る真相

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初日の敗戦後、千代の富士は2日目に板井を破って意地を見せたものの、3日目の貴闘力戦で力なく寄り切られ、2敗目を喫した。その夜、事態は一気に動いた。

師匠である九重親方(元横綱・北の富士 勝昭)の部屋を訪れた千代の富士は、静かに引退の意思を伝えた。北の富士は後に、その時の愛弟子の表情には一切の迷いがなく、引き止める言葉すら見つからなかったと述懐している。九重部屋の奥で交わされた師弟の短い対話。そこには、互いに頂点を極めた男たちにしか分からない覚悟と美学が存在していた。

翌日の引退会見場。日本相撲協会だけでなく日本全土を震撼させた会見で、千代の富士は震える声で語った。「体力の限界……気力もなくなり、引退することになりました」。

貴花田との一戦は、単なる一敗ではなかった。かつて相手の動きを瞬時に封じ込めた筋肉の反応が、イメージしたスピードに追いつかない。自分の相撲が取れなくなった肉体の衰えを誰よりも早く自覚したからこそ、彼は土俵を去る決断を下したのだ。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。