竹下通りのほぼ中央に位置し、2003年の開業から約15年間にわたって営業を続けたダイソー原宿店は、2019年1月27日をもって惜しまれつつその歴史に幕を下ろしました。閉店当時、店頭に掲示出された案内には「賃貸借契約満了に伴う閉店」とシンプルに記されていましたが、年間数百万人もの流動客を誇るドル箱店舗がなぜ契約更新に至らなかったのか、水面下では複数の要因が交錯していました。
流通アナリストの分析や商業施設関係者の証言によると、第一の物理的要因は「築年数の経過に伴うビル設備の老朽化と防災・避難動線の限界」です。地下から地上階へと客が立体的に回遊する同店では、インバウンドブームのピーク時にキャリーケースを抱えた訪日客や修学旅行生で階段が埋め尽くされ、安全管理上のリスクが極限に達していました。ピーク時には1日あたり数万人規模のレジ通過者をさばいていたものの、極端な混雑は滞留時間を奪い、客単価の上昇を阻む要因にもなっていたのです。
第二の経営的要因は、竹下通りの「固定資産税およびテナント賃料の高騰」です。当時の不動産鑑定データによると、竹下通りの1階路面相場は坪単価7万〜10万円超という都内屈指の水準に達していました。1品100円(税抜)の商品を主力とするビジネスモデルにおいて、数フロアを占有する大型旗艦店の家賃負担と人件費の高騰は、たとえ売上高が驚異的であっても営業利益率を激しく圧迫します。大創産業としては契約更新のタイミングで賃料条件の折り合いがつかず、無理な継続を避けて撤退を決断せざるを得ない構造的背景が存在していました。