Q1:すでに30年以上タバコを吸い続けてきた60代ですが、今さら禁煙しても肺にとって意味はありますか?
A1:明確に絶大な意味があります。破壊されてしまった肺胞壁そのものを元通りに復元することはできませんが、禁煙したその日から気道の急性炎症は治まり、残された健康な肺組織の破壊スピードを非喫煙者と同等の「正常な加齢ペース」まで落とすことができます。何歳であっても、禁煙によって呼吸困難で酸素ボンベを手放せなくなる寝たきりリスクを回避し、健康寿命を数年単位で延伸できることが数々の臨床疫学データで証明されています。
Q2:紙巻きタバコから加熱式タバコに完全移行すれば、肺気腫やCOPDを予防できますか?
A2:予防することはできません。加熱式タバコはタールや一酸化炭素が低減されているものの、依然としてニコチンや微小エアロゾル粒子、アルデヒド類などの有害成分を含んでいます。これらが細気管支や肺胞に慢性の炎症と酸化ストレスをもたらし、肺組織の線維化や気道の不可逆な狭窄を誘発することが確認されています。「紙巻きよりマシ」という油断が喫煙本数の増加を招き、結果として呼吸器系に重篤な負荷をかけ続ける危険性があります。
Q3:喫煙中に胸の奥がチクチク痛むことがあります。これは肺がんの初期サインでしょうか?
A3:肺の実質組織には痛覚神経が存在しないため、初期の肺がんや肺気腫が直接「チクチクした痛み」を引き起こすことは稀です。多くは煙の刺激による気管・太い気管支の急性炎症、咳の連続による胸郭の筋肉痛(肋間神経痛)、または逆流性食道炎に伴う放散痛と考えられます。ただし、がんが胸壁や胸膜(痛覚神経が豊富)に浸潤している場合や、気胸(肺に穴が空く病態)を起こしている可能性も否定できません。痛みが続く場合は決して放置せず、直ちに呼吸器内科で胸部X線やCT検査を受けてください。