大学在学中の1993年、渡部建の人生は大きな転機を迎える。高校の同級生であった児嶋一哉から「一緒にコントをやらないか」と誘われたのだ。こうして結成されたのがお笑いコンビ「アンジャッシュ」である。お笑い界への進出を決意した二人を受け入れたのが、お笑い事務所の老舗であるプロダクション人力舎だった。実家が裕福で苦労を知らないと言われがちだった渡部だが、若手時代の下積み生活においては、過度な実家頼みをすることなく、芸としての完成度を追求し続けた。
アンジャッシュの代名詞となったのは、緻密に計算し尽くされた「勘違いコント」だ。二人のセリフや状況設定が絶妙に食い違うこのスタイルは、渡部建の論理的な思考力と児嶋一哉の絶妙なリアクションが見事に噛み合った芸術的な笑いを生み出した。プロダクション人力舎の中でも異彩を放つ知的でスマートなコント師として、彼らは急速に頭角を現していくこととなる。