音楽理論の観点から「馬と鹿」のコード進行を考察すると、計算し尽くされた情動のコントロールが見えてきます。楽曲全体を支えているのは、マーチ(行進曲)を思わせる重厚なキックと、不規則に打ち鳴らされるスネアの土着的なビートです。
Aメロ・Bメロでは、憂いを帯びた短調(マイナーキー)を基調とし、抑制されたメロディラインで抑圧感や葛藤を表現しています。しかし、サビへと突入する瞬間、メジャーコードの開放感とサブドミナント・マイナーによる切なさが絶妙にブレンドされ、感情が一気に爆発する構造が取られています。
共同編曲を手掛けた坂東祐大によるストリングスアレンジも圧巻です。繊細な弦の擦過音から壮大なオーケストレーションへのクレッシェンドが、リスナーの胸を締め付け、魂を揺さぶるカタルシスを生み出しています。