会場となる荒川・砂町水辺公園の堤防に立つと、川を渡る心地よい夜風とともに、火薬の香りがかすかに鼻腔をくすぐる。江東花火大会の最大の武器は、その圧倒的なスケール感だ。打ち上げ台船が目の前の水上に固定されているため、見上げる角度はほぼ直角。頭上から光のシャワーが降り注ぐような錯覚に囚われる。
日本各地で受け継がれてきた伝統花火の技法が、この狭小な水域で見事に花開く。夜空に大輪を咲かせる菊花型から、柳のように尾を引いて水面へと消えゆく繊細な光跡まで、一発一発の表情が極めて鮮明だ。暗闇の荒川が鮮やかな紅や緑に染まり、水鏡となって光を倍増させる光景は、息を呑む美しさを誇る。