『闇金ウシジマくん』の中でも、読者のトラウマとして語り草になっているのが「洗脳くん編」だ。実在の凶悪事件をモチーフにしたとされるこのエピソードでは、言葉巧みに家族間へ入り込み、相互不信と暴力によって一家を完全にマインドコントロールしていく怪物の生態が緻密に描かれた。
また、パチンコ依存から主婦が自己破産へと滑り落ちていく「若い女くん編」や、見栄と怠惰から抜け出せない若者を描いた「フリーターくん編」など、日常の些細な甘えから人生が崩壊する過程を描いた短編群も容赦がない。派手な暴力よりも、じわじわと選択肢が奪われていく過程の心理描写が、読む者の精神を削る。
「ヤクザくん編」や「中年会社員くん編」で見られる肉体的な拷問や強制労働の描写は、過激でありながらどこか論理的で、回避不能の袋小路として提示される。この逃げ場のなさが、後味の悪さと強烈な中毒性を生み出している。