消費者が抱きがちなもう一つの思い込みが、「無殺菌のナチュラルミネラルウォーターほど自然の恵みで健康的」という神話です。
ヨーロッパ基準のミネラルウォーターは、水源環境が厳格に保護されていることを前提に「一切の殺菌処理を行わない無殺菌充填」が基本となっています。しかし、高温多湿で地震などによる地下水脈の変動が起こりやすい日本においては、採水後の加熱殺菌処理や厳重なフィルターろ過を行う国産軟水のほうが、微生物学的な変質リスクを低く抑えられます。
さらに見落とされがちな盲点が、ボトル開栓後の衛生状態です。どれほど安全基準をクリアした天然水であっても、ペットボトルに直接口をつけて飲むと、口内の常温細菌がボトル内へ逆流します。夏場の室内では、口飲みしたボトルの細菌数が24時間で数万倍に爆発的増殖することが衛生試験で実証されています。「水そのものの安全性」に目を奪われ、自身の飲用習慣による細菌汚染を見過ごしてしまう消費者が少なくありません。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
市場にある製品を「善か悪か」で二元論化するのではなく、自身のライフスタイルと体質に合わせて選択することが失敗しない唯一の防衛策です。
【選ぶべき人・安全なミネラルウォーターの条件】 日常的な水分補給や防災備蓄を目的とする一般の家庭には、国内大手メーカーが販売する「硬度10〜60mg/L程度の軟水」が最適です。採水地が明確で、公式サイト上にPFASや放射性物質の分析結果が定期更新されている銘柄は、品質のブレが極めて少なく長期保存にも適しています。
【慎重になるべき人・避けるべき状況】 生後1歳未満の乳幼児への水分補給や粉ミルクの調乳には、海外産の硬水や「ミネラル成分強化」を謳う還元水は避けてください。また、腎臓疾患の既往がある方や結石体質の方も、マグネシウムやカルシウム濃度の高い超硬水(エビアンやコントレックスなど)を常用する際は、主治医と相談の上で摂取量をコントロールする慎重さが求められます。