ネット上の「かわいい」「華やか」という表層的なワードだけを鵜呑みにして豊田通商を志望すると、入社後に激しいリアリティショック(認識のギャップ)に見舞われることになります。なぜなら、同社の企業アイデンティティの根底には、トヨタグループ特有の徹底した「泥臭い現場主義」が脈打っているからです。
豊田通商は総合商社でありながら、製造業のDNAを色濃く受け継いでいます。合言葉は「三現主義(現場・現物・現実)」。トラブルが発生すれば、世界中どこの現場であっても即座に現地へ飛び、油にまみれ、埃にまみれながら取引先や工場のオペレーションを支え抜くことが求められます。
他の財閥系総合商社が資源開発や大規模な金融投資で巨額のプロフィットを稼ぎ出すモデルを得意とする一方、豊田通商は自動車関連ビジネスのサプライチェーンを強靭に支え、近年ではアフリカ最大級の商社CFAOを完全子会社化して「アフリカ市場」を切り拓くなど、地道かつ粘り強い事業開発で成長を遂げてきました。
したがって、面接官が採用選考で見抜こうとしているのは、「スマートなプレゼン能力」や「小綺麗なルックス」などではありません。「泥臭い現場に放り込まれても、現地の人々と汗を流しながら最後まで事業をやり切れるタフさがあるか」という一点です。説明会で見せる柔らかな笑顔の奥底に、百戦錬磨の商社マンとしての強靭な意志と規律が秘められている点を見誤ってはなりません。