事件の実行部隊として暗躍した親族や関係者の存在も、この凄惨な事件を紐解く上で欠かせない。なかでも角田の「側近」として動いた李正則をはじめとする共犯者たちは、支配者への絶対的従属と暴力の行使において中心的な役割を果たした。彼ら自身もまた、長年にわたる過酷な暴力と恐怖政治によって思考回路を再フォーマットされた存在であった。
後の裁判廷において、専門家による司法精神医学のアプローチが導入され、被告人たちの心理状態が詳細に分析された。分析結果が示したのは、長期間の監禁と重度の心的ストレス下における「学習性無力感」と「マインドコントロール」の恐るべき実態である。自分の意思で判断する能力を剥奪された人間は、命じられるままに惨虐な行為に手を染め、その罪の重さすら認識できなくなる。司法精神医学の知見は、個人の意思や性格の問題として片付けられてきた洗脳被害のメカニズムを法的に証明する一助となったが、引き起こされた惨劇の重さを消し去ることはできなかった。