ショコラティエ パレ ド オールがチョコレート通のみならず幅広い層を惹きつけてやまない最大の要因は、シェフ三枝俊介氏が長年貫いてきた徹底的な素材主義と先駆的なクラフトマンシップにあります。フランスの名匠モーリス・ベルナシオン氏の教えを受け継いだ三枝氏は、日本のショコラティエとしていち早く自前の焙煎・加工設備を導入し、カカオ豆からチョコレートを一貫製造するビーントゥバーの道を切り拓きました。
山梨県清里に構えたアトリエ「アルチザン パレドオール」では、世界各地から厳選したカカオ豆をミリ単位・秒単位の火加減で焙煎しています。かつて三枝氏が専門誌のインタビューで「カカオ豆は産地や収穫年によって全く異なる表情を見せる。その個性を飼いならすのではなく、対話しながら最高の香りを引き出すのがショコラティエの仕事」と語った通り、同店のショコラは工業的な既製品ブレンドとは明確に異なる鮮烈なアロマを放ちます。
金箔をあしらった象徴作「パレドオール」を口に含んだ瞬間に広がる円熟した酸味と芳醇なカカオの余韻は、まさにこの綿密なプロセスから生まれる賜物です。単に「甘くて美味しいお菓子」を作るのではなく、「カカオという農作物が持つ生命力を凝縮した体験」を提供している点こそが、多くの愛好家を虜にする本質的な理由と言えます。