しかし、栄光の影には常に過酷な現実が潜んでいた。グループ卒業後、10代後半で突きつけられた人生の岐路。ふたりが選んだ、あるいは選ばざるを得なかったその後の道のりは、驚くほど対極的だった。
辻希美は20歳での結婚と妊娠を機に、早々に「家庭」という新たな主戦場へ足を踏み入れた。当時、世間からの激しい逆風やバッシングに晒されながらも、彼女は一切怯むことなく、日々の育児や家事をブログという新たなメディアで発信し続けた。それは芸能界という枠組みを飛び出し、一般社会の「母親」たちの日常に寄り添う壮大なセルフプロデュースの始まりだった。
一方の加護亜依は、スキャンダルや契約解除、私生活での苦難という幾重もの試練に見舞われた。スポットライトの当たる表舞台から一度は引き裂かれながらも、彼女が手放さなかったのは「歌うこと」への執念だった。スポットライトの光と闇を誰よりも深く知る人物として、彼女は己の生身の感情を歌声に宿す道を選んだのだった。