ネット上のレシピ情報を見渡すと、一部に科学的根拠を欠いた誤解や、美味しさを損なう盲点が見受けられます。長年おにぎりや米飯加工品の研究を続ける専門家の視点から、代表的な2つの誤解を正しておきましょう。
第1の誤解は、「塩昆布は炊飯器に入れて米と一緒に炊き込むのが一番ダシが出る」という言説です。確かに炊き込みご飯の手法もありますが、最初から塩昆布を入れて炊飯すると、昆布から溶け出した粘り成分(アルギン酸やフコイダン)が米の吸水を妨げ、米粒の芯が硬くなったり、炊き上がりがムラになったりするリスクがあります。「炊き上がった直後の白米に蒸らしながら混ぜ込む」ほうが、米の一粒一粒がふっくら立ち、塩昆布の食感とコントラストが鮮やかに残ります。
第2の誤解は、「オイル(ごま油やマヨネーズ)を入れれば入れるほど冷めても柔らかい」という極端な油信仰です。過剰な油分は米同士の結着を弱め、持ち運んでいる最中におにぎりが崩壊する主因になります。米150gに対して加える油分は、小さじ1/2未満が限界値です。この微量の油分こそが、崩れない強度と柔らかな口どけを両立する境界線なのです。