一見すると華々しいエリート街道を歩んできたように見える花村想太ですが、そのキャリアは泥臭い挫折と下積みの連続でした。Da-iCE花村想太の経歴を振り返る上で欠かせないのが、エイベックス主催のオーディション「a-motion」への挑戦です。
兵庫県出身の花村は、幼少期から歌手を志し、地元関西のボーカルスクールで腕を磨いていました。2007年・2008年と同オーディションに挑戦するも落選の憂き目に遭い、背水の陣で挑んだ2009年度大会において、約2万人を超える応募者の中からグランプリを獲得。ようやく東京行きの切符を手にします。しかし、そこからが本当の試練の始まりでした。
2011年にDa-iCEが結成された当初は、渋谷の小さなライブハウスでの活動や、観客が数人しかいないアウェイな環境でのステージを余儀なくされました。自らチラシを配り、地方のショッピングモールでのフリーライブを地道に繰り返す日々。当時の特番インタビューにおいて、本人は「歌っても歌っても誰の耳にも届かない恐怖と、いつ契約を切られるか分からない焦燥感に押しつぶされそうだった」と述懐しています。
転機となったのは、2020年の「CITRUS」のリリースでした。テレビドラマの主題歌として起用された同曲は、TikTokやYouTubeの歌ってみた動画を通じて爆発的なバズを巻き起こし、ストリーミング再生回数は瞬く間に数億回を突破。2021年の「第63回 輝く!日本レコード大賞」をグループとして初受賞し、翌2022年には「スターマイン」が大ヒットを記録。結成から10年以上の歳月をかけて掴み取った栄冠は、過酷な現場で叩き上げられた歌唱スキルと、不屈のメンタリティがもたらした必然の結末でした。