腰椎麻酔看護の実践手順と急変を防ぐ観察項目・合併症予防の全知識

腰椎麻酔看護の実践手順と急変を防ぐ観察項目・合併症予防の全知識

今注目を集めている 腰椎麻酔看護の実践手順と急変を防ぐ観察項目・合併症予防の全知識について、主要な情報を分かりやすく掲載しています。

腰椎麻酔の管理において、看護師がベッドサイドで絶対に看過してはならないのが麻酔レベル(デルマトーム)の異常進展と血行動態の急変です。局所麻酔薬がくも膜下腔に注入されると、無髄の交感神経線維、有髄の知覚神経、運動神経の順に遮断が進みます。この解剖生理学的プロセスを理解していないと、目の前の患者が発する危険信号を単なる「麻酔酔い」や「術後の疲労」と取り違えてしまいます。

術後管理における最大の急変リスクは、麻酔域が想定以上に頭側へ広がる高位麻酔および全脊髄麻酔です。特に交感神経が支配する胸部高位(Th1〜Th4領域の心臓交感神経)までブロックが及ぶと、末梢血管の虚脱に加え、心拍数の急激な低下(徐脈)を伴う重篤なショック状態へ陥ります。以下の評価指標を頭に叩き込み、経時的な変化を追跡することが不可欠です。

現場で直ちに実践すべき麻酔レベル デルマトーム 評価の手順は極めてシンプルですが、確実性が求められます。冷たいアルコール綿や保冷剤を用い、麻酔の影響を受けていない前額部や頸部で「冷たさ」の基準を確認した後、下肢から上腹部、胸部へと順に皮膚へ当てていきます。

「冷たいと感じない」「鈍い」と患者が訴えた境界部位が知覚遮断の上限です。例えば、剣状突起レベルであればTh6、乳頭線レベルであればTh4に達しています。乳頭線を超えて知覚低下が及んでいる場合、心抑制反射による急激な血圧低下と徐脈、さらに肋間筋麻痺による呼吸困難感が切迫しているサインであり、直ちに酸素投与の増量、昇圧薬の準備、麻酔科医への緊急コールが必要です。

さらに見落とされがちなのが、運動神経ブロックの回復遅延に伴うコンパートメント症候群や深部静脈血栓症(DVT)の合併です。Modified Bromage Scaleなどを用いて、「足首が動くか」「膝が曲がるか」「脚全体を持ち上げられるか」を段階的に判定し、記録に残すことが回復過程を客観視する標準手順となります。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。