物語のクライマックスで明かされるハクの正体は、千尋が幼い頃に転落して命を救われた川の神様、「饒速水琥珀主(ニギハヤミコハクヌシ)」です。人間によって埋め立てられ、帰るべき場所を失っていた川の主が、千尋との再会によって自らの名前を取り戻すシーンは、映画史に残る屈指の名場面として語り継がれています。
作中には、今なお引用される印象深いセリフが数多く存在します。
「私の名は、ニギハヤミコハクヌシだ」
「そなたの力になりたい」
「決して振り向いちゃいけないよ。トンネルを出るまではね」
神としての気高さと、千尋を守りたいという純粋な献身。当時13歳の入野さんが発した一言ひとことには、少年特有の清廉さと、人外の存在が帯びるどこか儚い神秘性が絶妙なバランスで宿っていました。この演技があったからこそ、ハクというキャラクターは時代を超えて観客の心に深く刻まれています。