朝霧高原を訪れる人々が最も戸惑うのが、空模様の劇的な変化です。静岡県内の市街地や東京近郊が快晴であっても、朝霧高原に入った途端に視界不良の濃霧に包まれたり、激しい通り雨に遭ったりすることが日常茶飯事となっています。この現象を引き起こしている主因は、標高700〜1,000mという地理的条件と、富士山が作り出す局地風にあります。
南側の駿河湾から湿った暖かい空気が富士山の斜面に向かって流れ込むと、急激に冷却されて飽和水蒸気量を超え、大量の雲や霧が瞬時に発生します。これが「朝霧」という地名の由来でもある名物現象の正体です。気象庁から朝霧高原周辺に霧注意報が頻繁に発表されるのも、この地形特有の凝結作用によるものです。
さらに見落としてはならないのが、標高差に伴う気温減率です。一般に標高が100m上がるごとに気温は約0.6℃低下するため、海抜0m付近の富士市街地と比較して朝霧高原は常に5〜6℃ほど低い気温となります。春や秋の観光シーズンであっても、日没とともに急激な放射冷却が加わることで、日中20℃近くあった気温が一気に一桁台や氷点下近くまで急降下する過酷な寒暖差を生み出します。