定期試験や共通テスト形式の古典問題において、『方丈記』の冒頭は文法問題の宝庫です。助動詞の活用形、接続関係、助詞の用法を正確に識別できるよう、単語ごとに細かく品詞分解して解説します。
【冒頭の品詞分解一覧】
- ゆく:カ行四段活用動詞「ゆく」連体形
- 河:名詞
- の:格助詞(主格「〜が」)※「川の流れ」の主語を示す重要用法
- 流れ:名詞
- は:係助詞
- 絶え:ア行下二段活用動詞「絶ゆ」未然形
- ず:打消の助動詞「ず」連用形
- し:サ行変格活用動詞「す」連用形
- て:接続助詞
- しかも:接続詞(「それなのに」「その上」)
- もとの:名詞「もと」+格助詞「の」
- 水:名詞
- に:断定の助動詞「なり」連用形(「にあらず」で1つの否定構文)
- あらず:ラ行変格活用動詞「あり」未然形+打消の助動詞「ず」終止形
- 淀み:名詞
- に:格助詞(場所)
- 浮かぶ:バ行四段活用動詞「浮かぶ」連体形
- うたかた:名詞(「水の泡」の意)
- は:係助詞
- かつ:副詞(「一方では…他方では…」の呼応)
- 消え:ヤ行下二段活用動詞「消ゆ」連用形
- かつ:副詞
- 結び:バ行四段活用動詞「結ぶ」連用形(「泡などが生じる・形づくられる」の意)
- て:接続助詞
- 久しく:シク活用形容詞「久し」連用形
- とどまり:ラ行四段活用動詞「とどまる」連用形
- たる:存続・完了の助動詞「たり」連体形(直後の名詞「ためし」を修飾)
- ためし:名詞(「前例」「例」)
- なし:ク活用形容詞「なし」終止形
- 世の中:名詞
- に:格助詞
- ある:ラ変動詞「あり」連体形
- 人:名詞
- と:並立助詞
- すみか:名詞
- と:並立助詞
- また:副詞
- かく:指示代名詞(「このよう」)
- の:格助詞(連体修飾格)
- ごとし:比況の助動詞「ごとし」終止形
特に試験で狙われやすいのは、以下の3点です。第一に「河の」の「の」が連体修飾格ではなく主格(〜が)である点。第二に「とどまりたる」の「たる」が完了ではなく「〜している」という存続の意味を持つ点。第三に「かくのごとし」の「ごとし」が直前の体言(または連体形)を受けて「〜のようだ」という比況を表す点です。