幾多の企業買収や政財界の暗闘を勝ち抜いた壱岐正が最後に挑んだのが、イランを舞台にした「サルワン油田(モデル:アザデガン油田等)」の開発プロジェクトでした。何千億円もの巨額資金と会社の存亡を賭けた掘削作業は難航を極め、幾度となく絶望的な状況に追い込まれます。
苦闘の末についに石油の噴出に成功し、近畿商事と日本のエネルギー自給に計り知れない功績をもたらした壱岐。しかし、彼を待っていたのは栄光の座だけではありませんでした。長年の盟友であった大門社長との路線対立、社内の派閥抗争、そして自らがビジネスのために払わせた数々の犠牲と裏切りが重くのしかかります。
最終回において、大門社長の勇退に伴い次期社長への就任を要請された壱岐は、その輝かしいポストをきっぱりと固辞します。自らの手で会社の不条理な権力争いに終止符を打ち、社長の椅子を同期のリール専務に託すと、壱岐は静かに退社を選びました。
ドラマ版のラストシーンでは、かつて多くの戦友の命を奪ったシベリアの荒野へと再び赴き、慰霊の祈りを捧げる壱岐正の姿が描かれます。ビジネスの頂点を極めながらも、魂の拠り所は常にシベリアで散った仲間たちと共にあった――その哀愁に満ちた結末は、多くの視聴者の涙を誘いました。