松永里愛を語る上で避けて通れないのが、聴く者の鼓膜を震わせる卓越した歌唱力です。Juice=Juiceは歴代、高木紗友希や段原瑠々といったハロプロ屈指のボーカリストを輩出してきましたが、松永の歌声はそれらの系譜を受け継ぎつつも、まったく異なるグルーヴと色気を持っています。
音楽プロデューサーやボイストレーナーが口を揃えて指摘するのは、松永の卓越したリズム解像度とピッチの安定感です。幼少期から培われた体幹のリズム感が16ビートを完璧に捉え、ブラックミュージックやファンク、R&Bの要素が強いJuice=Juiceの楽曲群において、楽曲の骨格を支える決定的な役割を果たしています。
「ライブ現場で彼女の低音の響きを聴いた瞬間、鳥肌が立った。単にキーが高いだけでなく、音の芯が太く倍音成分が豊か」(コンサート制作関係者の談)。ステージ上で見せるアドリブのフェイクや吐息混じりのファルセットは、音源の再現にとどまらない「生きたボーカル」の凄みを感じさせます。
彼女の才能が世に知れ渡る決定打となったのは、ハロプロ研修生時代の2019年に開催された「Hello! Project 研修生発表会 ~春の公開実力診断テスト~」でした。太陽とシスコムーンの難曲『スッピンと涙。』を堂々たるステージングで歌い上げ、ファン投票で最高賞である「ベストパフォーマンス賞」を獲得。審査員からも「すでにプロのグルーヴを体現している」と絶賛され、満を持してJuice=Juiceへの加入を勝ち取りました。現在見せている凄まじい歌唱力は、偶然の産物ではなく、確固たる下地の上に築かれた必然の進化です。