肛門腺のケアを怠り、炎症や細菌感染を放置し続けた末に待ち受けているのが「肛門嚢破裂」です。袋の中で増殖した細菌によって膿が溜まり、逃げ場を失った内圧が限界に達すると、皮膚が赤黒く腫れ上がったのちに自壊して体外へ突き破れます。
破裂すると、肛門の横にポッカリと穴が開き、血液と悪臭を放つ膿が大量に噴出します。飼い主が「血便が出た」「お尻から血が吹き出している」とパニックになって救急受診するケースの大半がこの破裂によるものです。
破裂に至った場合の治療は容易ではありません。患部の徹底的な洗浄消毒に加え、抗生剤や消炎鎮痛剤の長期投与が必要となります。皮膚の欠損が大きく組織の壊死が進んでいる場合や、再発を繰り返す難治性の症例では、全身麻酔下での「肛門嚢摘出手術」が選択されます。その場合の医療費は、術前検査や入院費を含めて総額3万円〜8万円前後に達することも珍しくありません。月1回の定期的なチェックを行っていれば防げたはずの疾患に、多大な金銭的・肉体的負担がのしかかることになります。